国内エアラインがダメであきらめきれず外資系客室乗務員を考える

 

 

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●国内客室乗務員採用試験に落ちて外資系エアラインを考えている人へ

 

 

先日、今年の新卒採用で国内エアラインを全社落ちましたと、以前人づてに相談を受けたお嬢さんから知らせがありました。

どれだけいい大学を出ていて英語堪能でも「狭き門」には違いないようです。

 

 

私は以前、某外資系エアラインに4年ほど客室乗務員として在籍していただけ以外は何者でもありません。

 

 

これから書くことは、時間的にいうと賞味期限切れかもしれません。

現役を終えてしばらくは、体裁もあって話せなかったことなど、逆に昔の話としてならお伝えしやすいと考えたのです。

 

また、自分のこれまでを振り返り、忘備録として書き残したいと思うようになったので、実話を交えながら私の経験談をブログの場で共有したく公開することにしました。

 

 

書くことで、あの日の自分にタイムスリップできるような気がします。なので情報を求めているあなたの気持ちに少しは寄り添えるかもしれません。

 

 

 

インターネットなど存在しなかった時代でしたが、私自身も切実に外資系客室乗務員採用情報を求めていたことがあります。

 

 

社会人として働きながら英語を勉強し、スイミングスクールに通って体力づくりするなどそれなりに対策はしていましたが、情報などはほとんどなく、ただ不定期の既卒採用の募集があるのを待つだけでした。

 

そのような日々がどれだけ不安かがわかりますので、このページが少しでもお役にたてればと思って書いています。

 

 

変化の激しい国内エアラインと違って、外資系エアラインは昔も今も試験内容や求められる客室乗務員のカラーにそれほど変わりはないと聞きます。

 

 

実はいまだに娘さんが客室乗務員の採用試験を受けるからと相談を受けます。

 

「昔のことだから情報があてにならない」とお返事しても、ほかに話を聞ける人がいないからと頼まれると断れず、ご本人と電話越しでお話したり、直接お会いすることもあります。

 

 

国内エアラインに関しては何も知らないのでお答えできません。

新卒で国内採用試験を受けたことはなく、外資既卒採用志願だったからです。現在の状況やLCCのことはさらに何も知りません。

 

 

また外資系エアラインといっても多数あります。

 

私は同時期にもう一社内定をもらったので、2つのエアラインのことを知っているのみです。

 

そのほかは友人がトランスファーしたエアラインのことを、聞きづてに知っているだけの偏った、狭い範囲での経験談に基づく内容であることをはじめにご了承ください。

 

 

あなたが客室乗務員になりたい理由は?

 

 

 

はじめにお聞きしますが、なぜあなたは客室乗務員になりたいのでしょうか?

 

ステイタスや単なる憧れからでないのなら、面接での模範回答ではない本当の理由をこの機会にでも再確認下さい。

 

 

見ための華やかさや人気度で知られるわりには、仕事内容の実情はそれほど知られていない気がします。

 

 

インターネット上ではたくさんの客室乗務員の採用情報や、小ネタが行き来しているようですが、表向きの華やかな面を伝える記事はあっても、その裏側を書いているサイトは少ないように感じます。

 

(私にはもう関係のないことですので、本気をだして検索したわけではありません、念のため)

 

 

この仕事を経験したことのある仲間うちでよく言っていたことです。

 

「客室乗務員・CA・スチュワーデスはあなたもやってみたらわかる。」と・・・・。

 

この一言につきます。

 

逆にやってみないとその実態は、ほとんどわからないといえるでしょう。

 

他の職種と違って、バイト等で経験することなどできないのですから情報が少なくて当然ですね。

 

 

 

それでは今から、客室乗務員の仕事がどれだけ精神的・肉体的にハードな仕事なのかをお伝えしたいと思います。

 

 

 あなたの客室乗務員になりたいといその情熱と照らし合わせて、以下の項目をクリアできるかどうかを再考ください。

 

 

客室乗務員を目指す人への6つのチェック項目

 

 

①あなたは精神的にタフですか?

 

 

どのエアラインでもそれ相応の訓練期間があり、たいていが長いです。

私のいたエアラインで座学が1か月、OJTで3か月の合計4か月間ありました。

 

客室乗務員になる訓練はとても厳しいため、この間は強い忍耐力と精神力が必要となります。

 

私がいたエアラインではとくにキツかったのが、日本人上司による指導でした。

 

あれほど高圧的で恐怖心さえ覚えるくらいの指導と、言葉による暴力と絶対服従の関係はこの世界独特のもので、普通の業種ではありえないでしょう。人にもよりましたが、それはもうパワーハラスメントすれすれのレベルでした。

 

 

時を経た今は担当者もかわっていると思いますが、強い力を持つ元締め役の存在は不可欠のはずです。

 

 

けれども今となっては理解できます。

 

なぜあれほどまでに、訓練生や新人客室乗務員を精神的に追い詰めるのか。

 

それは外資系エアラインに在籍する百数人の日本人客室乗務員の「元締め役」となる存在が必要悪だからです。

 

眼光鋭いにらみをきかせて、叱責を受けることが震えあがるほど怖い上司がトップにいないと、外国暮らしで開放的になった日本人客室乗務員が、私生活や仕事面で好き勝手をしたり、気が緩んで会社に悪影響を及ぼす可能性もあり得ます。

 

全員を野放しせず、統率していくためには憎まれ役も必要ということです。

 

 

実際、この長い期間中はかなりハードな日々を送ることになります。

 

訓練が厳しいことと、英語での慣れない現地の生活や、日本に帰れずに家族や友人・ボーイフレンドに会えないことで、ホームシックにもかかります。

 

連日のテストや、厳しい指導による精神的苦痛などとあわせて、限界に近いギリギリ状態になるので、せっかく難関を潜り抜けてきたのにもかかわらず、訓練途中で脱落していく人も同期で数人いました。

 

客室乗務員になるために通過する第一関門ですが、会社側も様子見をしていたように思います。

 

これを乗り越えられないなら、その後の客室乗務員生活をこなしていくことは絶対できないはずだからです。

 

どんなキツイ状況でもひたすら我慢するような忍耐力がいります。

 

 

また、あなたは孤独に耐えられる方ですか?

 

外資系エアラインの客室乗務員は、プライベートでもフライトもまるで一匹狼のような存在です。

 

仲良しの同期2、3人でシェアする拠点での住まいは、フライトでルームメイトは出払っていることが多く、共に過ごせる日はわずかです。

 

広いマンションの空間にポツンとひとりでいることも少なくありません。

 

休みがあっても拠点に友人が誰もいなくて、淋しい休日を過ごすこともあります。

 

 

ステイ先のホテルでも広いダブルルームに1,2泊ひとりです。

 

私は、基本ひとりでいることが好きなタイプなので、かえって楽しんだくらいですが、さみしがり屋の同期などは、いつも「淋しくて仕方ない」とこぼしていました。

 

 

だからなんでも一人でこなせて、一人で過ごすのをいとわない精神的なタフさが必要なのです。

 

 

ほかにも、先輩・後輩の厳しい上下関係があることはご存知ですね。

あきらかに自分より年下とわかっても、一期違うだけで序列が決まるシビアな女の世界です。

 

 

機内や空港、オフィスで日本人の先輩の姿を見かけたら、真っ先に「ご挨拶」に走らなければいけないという、暗黙のルールもあります。

 

 

 

仕事面ではチームワーク精神を発揮して、まわりに合わせるという機敏さと柔軟な適応力も必要です。

 

現地クルーはチームでフライトをしているので、その中に日本人客室乗務員が飛び入りでそのフライトメンバーの一員となります。

 

どんなチームに入っても、瞬時に彼らの雰囲気を読んでナイスに振るまうなど、「気遣い・心配り」は乗客に対してだけでなく現地クルーに対しても必須です。

態度が悪いとフライト中、大変な思いをすることになります。

 

 

時には現地クルーチームの強い団結力と仲間意識の中で、日本人のあなたは疎外感を感じながら長いフライトを続けなければならないときもあります。

 

 

ここだけの話ですが、外資系エアラインの日本人客室乗務員の給与体系は、現地クルーのそれにくらべて物価水準上、高めなのです。

 

それを知っている一部の現地クルーのやっかみがあるのは事実で、そのような理由で現地クルーに目をつけられることだってあります。

 

 

ここまで書いたように、ちょっとした人間関係につまづくようでは、この仕事は続けられません。少々苦手だと思う人がいたとしても、うまくまわりに合わせる能力がないと厳しいものがあります。

 

 

 

もう一点よくあることですが、現地クルーの不誠実な接客に対するクレームを、あなたが代わりに激怒している日本人乗客に謝罪する羽目にもあいます。

 

 

日本的で繊細な接客方法は、外国人現地クルーには理解できないこともあって、苦情を英語で伝えられない乗客は、日本人のあなたを叱責することで怒りをぶつけるしかないのです。

 

 

しかも現地クルーは自分の言い分を主張するので、板挟みになってつらい思いをするのですが、それもこれも全部あなたの責任と役目となり、誠心誠意その方へお詫びしなければなりません。

 

その現地クルーには今後のためにも、日本的接客のことを理解してもらうべく一生懸命に説得する必要があります。

 

 

日本人乗客と外国人現地クルーとの橋渡しをする役目、これが外資系エアラインが日本人客室乗務員を採用する主な理由です。保安上とサービス全般に渡って言えることです。

 

 

新人客室乗務員の頃は、自分のミスで乗客に不愉快な思いをさせてしまうこともあるかもしれません。

 

 

ただ失敗やミスは、フライトに慣れていない時期のみ起こりうることで、真面目に一生懸命サービスしていればそのうち慣れますし、その後はほとんどなくなりますので大丈夫です。

 

 

それ以降はいかに自分のサービスの質をあげていくかが課題となります。

個々のサービスに細かいマニュアルはなく、そのあたりについては会社側からの指導などはありません。個人の裁量の範囲です。

 

 

 

②あなたは乗客にお酒をだしたり話のお相手ができますか?

 

 

お酒やお飲み物・お食事をサービスする接客業のため、仲間内で「空飛ぶウォータービジネス」と言っていました。

これが立派な仕事として成り立つのが客室乗務員の仕事です。

 

今は廃止されたようですが、私の頃にはエコノミークラスでも無料のリカーサービスがありました。色々なカクテルの作り方を覚え、リクエストごとにサービスしていました。

 

 

サービスがひと段落して、手の空いた時間などに上機嫌の乗客のお話におつきあいすることもありますし、ひどい場合は酔った乗客にジロジロ見られたり、めったににないことですが体を触られることだってありました。

(これについては対処法と大変厳しい制裁がありますのでご心配なく)

 

 

 

③あなたは機内のトイレ掃除や汚物処理をすすんでやることができますか?

 

フライト中のトイレ清掃は全部、客室乗務員の仕事です。

食事を出したり、下げたり、片づけするのは平気ですか?

 

客室乗務員のフライト中の食事は交代で、余った機内食をギャレイの中で立ち食いします。

 

お嬢様育ちの客室乗務員はプライドが許さないのか、早々に辞めていきました。

 

 

 

④あなたの体は健康で丈夫ですか?

 

 

ナイトフライトでの夜勤乗務、時差ボケ、長時間の立ち仕事(座ることがありません)、繰り返す離着陸の体への負担、重い荷物の上げ下げのお手伝い、接客上のストレスなど、健康で体が頑強でないと務まる仕事ではありません。

 

 

行きたいときにトイレに行けず、私も何度か膀胱炎になりました。

乱気流に入ったときは内心、客室乗務員でも怖いです。

 

風邪気味の時のフライトは、離着陸の際に耳の中が張り裂けそうに痛みますし、離着陸の繰り返しは子宮に若干悪影響を与えると聞いたことがあります。

 

 

客室乗務員の仕事が長続きしない原因の一つは、体力的にヘビーだからということがあげられるかと思います。

 

 

 

⑤あなたは有事の際には一番最後に飛行機を降りる覚悟はありますか?

 

 

 

客室乗務員の大切な役割は「保安要員」であるということです。

かなりの時間がこの訓練に充てられます。

 

 飛行機は車や列車よりも事故の確率が少ないと言われますがそれでも万が一、不測の事態が起こったら、すべての乗客の脱出を確認してから、あなたは一番最後に脱出しなければなりません。

その時にはもうこの世にいないでしょう。

 

 

 

 ⑥あなたは貧乏生活にも耐えられますか?

 

 

訓練期間中は基本給のみ支給されます。

ご存知でしたか?客室乗務員のお給料は食事代を含む乗務手当がついてはじめて、それなりの額になります。

 

フライトがなければ基本給は、拠点での住まいの賃貸料を払ったらほとんど残らないような額なのです。

 

 

はじめの4か月間、貧乏といったら大げさですが、好きなものを買うのは我慢するなど、節約生活をして過ごすことになります。

 

これは結構大きなストレスとなります。来る前の持参金が豊富にあれば別ですがそれもすぐ底をつきますので・・・。

 

 

 

最初に手厳しいことを書きました。

長い話にもかかわらず、ここまで読んだ方は真剣に客室乗務員になることに真剣な思いを抱いている方かもしれません。