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夜間飛行

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寝ている間に目的地へ着くという移動は効率がいい。

ヨーロッパ一人旅ではもっぱら内陸の移動に

寝台特急の夜行を利用した。

列車の旅は独特の旅愁が感じられて好きだ。

 

駅やホームで人々が話す聞きなれない言葉。

食堂から漏れ出る湯気と食べ物のいい匂い。

行き交う人々の流れ。

異国にいることをしみじみ思い知らされる。

仲間同士やカップル、家族連れを見ると

少しだけ一人を寂しく感じる。

この孤独感の切ない感じがまたいい。

 

ガタンガタンという強烈な揺れを感じながら狭い寝台で過ごす。

熟睡はできないのだけれど

なぜか旅の醍醐味のようなものがあって嫌いではなかった。

日中めいっぱい観光で歩きまわったMAXの疲労度は

寝台列車が癒やしてくれた。

気がついたら爽やかな

陽の光とともに朝の活力へと変わる。

 

 

 

飛行機のナイトフライトはどうかな。

乗客側にすれば夜間飛行は快適だと思う。

 

たいていの人は目的地へ着くまで深い眠りにつくので

昼間のフライトのように周りに邪魔されて

眠れないことがあまりないようだ。

楽しい休暇を過ごしたその朝から出勤する人が多かったと思う。

 

 

乗務員側としてはどうかな。

乗る前には覚悟がいったように思う。

今日は夜勤だと。

 

覚悟といっても、おもに体調管理に気をつけるということだ。

昼間の仮眠で熟睡しておかないと、業務上きつい。

ところが仮眠をとらずに昼間も出歩くタフな同僚が多かった。

 

ギリギリ帰ってきて、手早くメイクと準備をすませ

空港へ急ぐような芸当は私には真似できなかった。

 

飛行時間が何時間以上で仮眠がとれるブレイクの

あるなしが決まっていたと記憶する。

 

日本への7~8時間、中距離フライトでは休憩なしの立ちっぱなしだった。

深夜発フライトでは2回の食事や、その他もろもろの

デューティが多すぎて

ゆっくり休憩する時間などなかったのだ。

 

最初のミールサービス後、機内が消灯してからも

ずっと乗務員はやることがあった。

キャビンチェックにトイレットチェック、食事の準備。

またギャレーで余った機内食を

交代で立って食事する休憩の必要もあった。

 

夜が明けると朝食の準備にとりかかる。

機内の灯りがつくと乗客たちが一斉に起き始める。

また慌ただしいミールサービスが始まる。

 

着陸。

満席の中、最後の乗客を見送ってチェック後に飛行機を降りる。

「フライトお疲れ様でした。」

 

ナイトフライト用の濃いメイクが朝陽の中で妙に浮く。

ヘアスタイルが少々乱れていても何も言われない。

誰もが途端に無口で無表情になる。

 

空港を出てクルーバスを待っているとどっと疲れが出る。

かなりの疲労感だ。

 

市内のホテルに向かう小一時間、

崩れるように眠り込む。

昼間にしっかり仮眠をとっていた私でもこれだ。

 

皆が休養を取る時間に

逆行して寝ないで仕事をするのは考えているより大変だ。

 

そんなわけで夜勤の仕事の人には頭が下がらない。

 

自分がナイトフライトや夜行列車を利用するときは

いくら仕事とはいえ、その時間見守るように

黙々と働いてくれてた人に

感謝の念を感じずにはいられない。