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 一極集中

一人しかいない人に人気が集中することはどの世界にもあるようだ。

それほどいい男でもないのに

妙にモテモテで浮名を流すような人がいると

外地では日本人クルーは狭い世界の住人にすぎないので

内輪話としては格好のネタとなる。

 

取り合いになるから余計に追っかけるのだろう。

K先輩とN先輩のバトルがあったかと思えば

今度は後輩のJも参戦して噂になったりした。

 

他にも噓のようにいろんな人が巻き添えをくっていた。

あちこち手をつける張本人が悪いのだけれど

噂になっている男ほど味見をしたいのか

それとも競いあいたいのか、その女心と心理は

外野側には理解できなかった。

 

イケメンではないけれどスチュワーデスを惹きつける

色気やオーラのようなものを身につけた人だったと思う。

遊び人を地で行くような男だった。

「◯◯エアーの女がうるさくって」

そんな風に裏で豪語していたような感じの男だ。

 

 

魅力の一つはもちろん財力とバックグラウンド。

それでも親に頼らず自分でもビジネスをして

世界中を飛び回っていたから

しょっちゅう会える相手ではなかったようだ。

だから余計にミステリアスでクールな印象で

計算しているのかしていないのか

謎めいたところがまた彼女たちを虜にしたのだろう。

 

 

誰かとの逢瀬を楽しんでいたと聞きつけて嫉妬に燃える

同じ便で一緒になった先輩を見たことがある。

 

彼女なら引く手あまただろうに

なぜたった一人の男を自分のものにしようとするのか

少々滑稽だった。

 

振り向いてもらえないと追っかけたくなるのか

それともライバル意識がそうさせるのか

自分に自信を持っている人たちだからこそ

恋心に身を焦がすような想いでバトルしていたのかもしれない。

 

 

結婚したかった?

あんな遊び人と?まさか。

賢い人達だからその辺はよくわきまえていたと思う。

もちろんその後のことは知るわけがない。

 

この遊び人に限った話ではなかった。

なぜか他にも一人の男を取り合いすることがあったと思う。

 

すぐ引き下がってしまう方なのだけれど

自分にも似たような経験がある。

 

知っていながらお構いなしに近づいてくる

彼女たちの自信と抜け目の無さといったら。

逃した魚は大きかった?

とんでもない。

のしをつけて差し上げますみたいな。

 

失笑したくなるのは

それぞれが誰かの恋愛対象を

自分のことを棚に上げて

「あんな人のどこがいいの?」と

首をかしげていたことだ。

それは自分にもあてはまっていた。

 

仕事も恋愛も時間的に

限定的なエアライン勤務だ。

みな情熱的で激しい性格だった。

だから強烈な男たちとだけ

それもあんな個性的な人はちょっといない

そう思えるようなタイプと

恋愛ごっこを繰り返していたような

そんな記憶がかすむ。

 結構すごい世界だった。