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壁を超えるまで

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fligt

「努力する人は希望を語り、 怠ける人は不満を語る」 井上 靖

訓練中に脱落。

一番若くて英語力が不十分だった同期二人は、訓練後半、壁を越えるのをあきらめた。

精神的に追い詰められる日々と毎日のテスト漬けにギブアップ。

薄給で好きなモノを買えない、食べられない、遊べない、日本にいるボーイフレンドの「会いたい」誘惑が拍車をかける。

私のように退路がないならともかく、まだ若いからと

帰国して花のOLをやり直すこともできると思ったのかもしれない。

人生の履歴書に残る「◯◯エアー合格」。その後のことはなんとでも言える。

実際半年くらいで辞めた割には、結婚披露宴で華々しく

「新婦は◯◯のCAでした。愛のシートベルトをナンタラカンタラ」と紹介されるのだ。

うわべの華やかさだけに憧れて、最初から訓練と業務内容のキツさを覚悟しておいたらこんなことにならなかったかもしれない。

私ですら採用されたのは間違いだった、辞めれるものなら辞めたいとさえ思ったことがある。 大きな目のエキゾチックな美人と妖艶な美人は似た者同士。

いかにも会社好みといったところ。

このあたりが外資系特有、外見重視の見込み採用のような気がする。

国内エアラインではありえないが、縁故でないのが救い。

異国でのその時期は想像を絶するくらいの壁だった。

二人が辞める時、皆が愛想か本気なのか、精神的にギリギリで「私も追うかも」と口々に言っていたのを覚えている。

壁を超えるまでは。

超えたあとの楽しさと自由を永遠に知る由もない、あの二人のことを思った。

若い時の苦労は買ってでもした方がいいと今はそう思える。その後の糧になるから。

あれを乗り越えたのだから、どんな困難でも乗り越えられるという基準になるのだ。

反面、あれほど辛い目するくらいなら飛行機なんてお金を払って乗るものくらいに考えて、世間知らずのままでもいいとも思う。

たくましくならなくてもいい、それも幸せだから。

選択肢は二つに一つだ。