コガネモチ

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大学時代の親友でお金持ちの令嬢がいた。

親のコネで某国大使館アルバイトの職を得て、社会人としてスタートを切った彼女のこの一言がずっと忘れられずにいる。

「たかが小娘のくせにこんなにもらっていいのかと申し訳なくなる・・・。」

どれくらいの高給かは具体的に聞く事もなかったが、後に彼女の未来のダーリンとなる人が住まっていたのは一等地にある外交官専用高級マンション。そこに招待された時に想像がついた。この手のクラスの人たちの高待遇ぶりは一般人には想像を絶するものがある。大使館のアルバイトは良家のコネしか入れないようなことを聞いた。

彼女は生まれてこの方、お金には不自由したことはないようだった。高級車で通学し、服装もブランド品ばかり、親からバイト禁止と言われているためお小遣いもたっぷりもらっているような、少し世間ずれした金銭感覚を持っていた人だった。

なんの苦労もなく人生がエスカレーター式のごとく、親や環境が用意した縁談、職場に恵まれるという手はずが整うようになっていたとしか思えない。

そんなことを考えつつ自分とは違う世界だと割り切って、OLをしながら外資系エアラインに転職を志した当時は、正直言ってCAのお給料体型がどうなっているのかあまり頭になかった。

そこそこもらえるとか、エアラインによって格差があるという程度の認識だった。

それが実際にフライト勤務をはじめてから、仕事や生活面に余裕が生まれ始めた頃、例の親友のセリフを思い出したのだ。

外国のまるで子供銀行のような通帳をみるたびに、大きく増えていく残高。

内心うれしくもあったし、驚きも隠せなかった。自分の稼ぎが十分にあり、好きなことをやれる経済的余裕がある自由はかけがえのないものだった。

もっとも高給取りといっても、訓練期間中は安い基本給だけなので、住居費・光熱費、食費を払うのがやっとでカツカツだった。

ところが一旦フライトし始めると、フライト手当、滞在手当、食事手当、クリーニング手当など基本給をかなり上回る諸手当が上乗せされたのだ。各手当はフライト先によって異なる。

フライト先の物価にあわせて支給され、アジア諸国なら少なく先進国なら高い。ちなみに日本は一番手当の高い滞在先だった。

そんな意味で休暇や、やむを得ない事情でフライトをしない月の給料は基本手当だけとなり、厳しいものになる。

フライト回数をこなすほど額面が高くなるのだが、体を張ったハードワークということもあり、ひと月のフライト数は決められていたので平均手取りはほぼ決まっていた。

ところで先日、たまたまあるエアライン国内線CAの話を目にしたのだけれど、「一日3便の往復勤務で家に帰れるのは月に10日ほど」とあった。

もし家にいる日=オフが10日ということなら、週休二日制のOLと変わらない。もちろん国内大手エアラインなら給与や福利厚生などの諸条件はかなりいいはずなのだけれど。

話はそれるが、その人の話を聞いて「一日に離着陸を3回も繰り返すようなフライト勤務は絶対したくない」と個人的に思った。

体に何よりも負担がかかるのは急激な気圧の変化、つまり離着陸だと聞いたことがあるからだ。

外資系エアライン国際線の場合、私の記憶によると家にいた日=オフは月の約半分あり、けっこうゆっくり休めたのだ。

そのほかの日数はフライトしているか、そこの滞在先にステイという半分休養のような日を合わせたもの。

実感としては、仕事はタフだけれど「そんなに働かなくてもガッポガッポとお金が入ってくるイメージ」だったと言える。

勤務日数にしては高すぎる給与をもらっていたと、今となっては思う。

今高給取りの人は別として、一般的なOLをしている人は、仮に今の2倍3倍の額が毎月受取口座に振り込まれたときのことを、一度思い巡らしてみるのはいかがだろうか。

これに加えて好景気だった当時、人気エアラインということで会社そのものが、増収に次ぐ増収で臨時ボーナスの額も回数もハンパなかった。「またこんなに入金されている。」とびっくりした日もよくあった。

経済的に余裕がある状態の幸せ度といったら叫びたくなるくらいの歓喜に値する。

普通のOLからの転身組だったからか。そんなことが勘違いを起こさせるようだ。なんだか格上になったような。人間性は何も変わらないのに。

フライトさえすればガッポガッポ入ってくる分は、貯金に余念がない人、ブランド品三昧にと人それぞれだった。

それもこれも若かりし頃だけ、あらため、契約制という「期間限定」勤務であるにしても、退職後はみなまとまった額を日本円に換えて、肌身離さず現金の束を持ち帰ることになった。

フライト長者といったところかもしれない。日本の物価の高さからすれば、特定の国を除く海外暮らしには、生活費もそれほどかからないことに驚くはずだ。

もちろん外貨で給与をもらうため、毎回為替レートの影響もうけるのだけれど、自分の在籍していた頃は超円安で海外駐在員やCAはいわゆる為替成金、本当に皆「小金」を持っていた。

冒頭のお嬢の親友の話ではないが経済的余裕というのものは、さらなる余裕を生むものだ。大して苦労などしなくても、なぜか同じような環境や人間関係やそれなりの楽しみを生み出すようになっている。

「類は友を呼ぶ」。つきあう人もそれなりのリッチピープルが寄ってくる。いやというほどどこからともなく湧いてくるのだ。不思議なくらい人脈やコネも増える。

だから機が熟したらタイミングを逃さず、うまく波に乗り、好条件のさらなるステップや良縁をキャッチしなければならない。もちろんあなたがそう望むならの話だ。

多分普通のOLをしていたら知り合うはずのない人々と、当たり前のように親交を深めることになるし、実際桁違いの玉の輿に乗った人も何人もこの目で見てきた。

ただし私のように自分が好きなことをしたいために、チャンスにも目をくれずそんな世界から離れて普通に戻った人ももちろんいる。でもそれは少数派にすぎない。

一体何が言いたいのかわからなくなった・・・。(笑)

今の時代なら才能がある人なだ独立起業でもして、もっともっと稼げるようになるのだろうけれど、普通のOLより高待遇を望むのなら、この稼業はおすすめかもしれないということだろう。(ただしイマドキのLCCのことは何にも知らない)

何より永久就職という、かなり高確率の「当たりくじ」までついているのだから。内心コレを期待する部分もあるのでは・・・?といったら不届きかな。

当たりくじって何?幸せへの片道切符?

リターンチケットを買うのは自分次第。当たりくじにどっぷり依存するのは高リスクだ。

目的地が必ずしも安泰の地とは限らないのだし、そこへ行くことより、たどり着くまでの過程のほうが大事ということもあるのだから。